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【今週一冊コレ読もう!】 小説と自分との間で普通起こりえない関係性! エイジ/重松 清

今週の【今週一冊コレ読もう】は、

重松清の「エイジ」です。

 

目次

 

 

概要
 

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タイトル:エイジ

著者:重松 清

発売日:2004/07

ページ:463p

 

 

あらすじ


ぼくの名はエイジ。東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。その夏、町には連続通り魔事件が発生して、犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は、同級生だったー。その日から、何かがわからなくなった。ぼくもいつか「キレて」しまうんだろうか?…家族や友だち、好きになった女子への思いに揺られながら成長する少年のリアルな日常。山本周五郎賞受賞作。(引用)

 

3つのおすすめ


①ページ数を忘れる、展開ではなくストーリでもなく…

②気づいた時には自分がエイジ

③知らない自分に震えて高ぶる

 

 

①ページ数を忘れる、展開ではなくストーリでもなく…

 

中学生、高校生に読ませたい本として、読書感想文の課題にずっと推薦され続けてる本だけあって、小説のコーナーに行くと、未だに面陳されている本がこのエイジになります。

 

小説のあらすじ欄でも紹介しましたが、同級生の起こした通り魔事件をきっかけにエイジをはじめとする同じクラスの中学生達の学生生活を描いたもので、展開もストーリーも先が気になる面白い作りになっています。

 

もちろん前提として展開、ストーリーが面白いのはもちろんですが、ここにとどまらないのが「エイジ」だと思っています。

 

名作という事もあってこの本はいろんなところでレビューがされていて、名言として纏められているくらい教養も多いある種「為になる」本となっています。

 

特に言われているのがこの本の題材が「キレる若者」と言う点です。

 

レビューでもほとんど書かれている「キレる若者」への問題提起は「なぜこの人は学生の気持ちをここまで汲みとれるのか?」と、この本を始めて高校生で僕が読んだ時思った程わかりやすいもので評価の主軸になるとも思います。

 

でも「キレる若者への問題提起」って見方は精神的に成長しきった人が未熟な人に伝えたいと思う教育的な目線であって、教養であって娯楽では無いと思うんですね。

 

「キレる若者」を題材にしてメッセージを伝えるだけなら、小説ではなく道徳の教科書でいいと思うんです。

 

この本は「キレる若者」にフォーカスされすぎて教育的な側面を持たされすぎている気がしてならなりません。

ですが、本当の魅力そんなところでは無いと僕自身は思います。

 

この本の面白い部分は、突飛な展開ではなく、強いメッセージ性を持つストーリーでもなく、「自分自身」です。

 

 

②気づいた時には自分がエイジ

 

主人公であるエイジはバスケ部のエース選手でしたが、怪我をきっかけに部活にも行けず受験を控えて塾に通い、なんとなくの学生生活を送る言わばよくいる中学生です。

 

よくいるとは言え、バスケ部の思い出話も出て来ますし、彼女もいますし、成績もそれなりに優秀ですし、要点要点をまとめて行くと全員に当てはまる訳では無い僕からすると少し上のランクの人間感がある主人公でした。

 

でもこれがこの小説のすごいところで、気づけば自分はエイジになって同級生と話をしているんです。

 

私ごとですが、今まで運動部に所属したこともありませんし、成績もそれほど優秀だった訳でもありません。

エイジの様に、母親が拗ねて仲直りに頭を悩ませたり、父親の思いを汲み取って動いたり出来るほど頭の良い子供でもありませんでした。

 

でもこの本を読むと皆さんも成りかわる筈です。自分がエイジに。

 

今思うとしょうもなかった、友達の喧嘩や学校行事に真剣に悩み本気で不満を垂れていたあの中学の頃の頭に戻り、エイジとしてあのメンドくさく今思うと楽しかった学生時代に戻ってしまいます。

 

楽しかった学生時代に戻れる」なんて幸せ100%の少女漫画の様なものでは決してありません。

 

ただこの没入感は凄まじく、是非とも一度経験してほしいと思う部分です。

 

③知らない自分に震えて高ぶる 

 

①のおススメポイントでも書きました「自分自身」ですが、「エイジになっている」というのと同時に面白い部分が「知らない自分が出てくる」という部分です。

 

同級生が通り魔となって犯した犯罪が、警棒で女の人を後ろから殴ると言った物なんですが、同級生の犯罪という事もあり、エイジはその犯罪を真剣に考える様になります。

 

自分と同じ学校、同じクラスで、話をする事もあった表面上では自分と同じような人が、テレビで見るような犯罪を犯してそしてテレビに出ています。

 

自分と彼との違いはどこなのか?

むしろ自分と彼とは違うのか?

ぼくもいつか「キレて」しまうのだろうか…?

 

いくら理屈を並べても言い逃れ出来っこ無い、堂々めぐりの見えない自分への不安は身がよじれる思いとしか形容のしようがありません。

 

その知らない自分を知ろうと葛藤するエイジの様子や、吊られて見えてくる読んでいる自分自身の見えない自分への不安が織り混ざって、この小説のリアリティを一気に高め、他ならない面白さを生み出していると思います。

 

まとめ 

 

知らない自分を見つける楽しさ、という小説の側面を要点とした本の紹介は今までもさせてもらいました。

 

ただそれは「読んでいる」事が前提で、小説の主人公という人間をある種俯瞰して自分を独立させる事で感じられるものだと思います。

 

この本のすごいところは、読んでいる自分がエイジになれるという部分です。

 

自分は小説を読んでいる間は成績優秀で怪我で部活を引退したエイジであり、バスケを体で覚えているようなスポーツマンになっているのです。

 

実際の自分とは違う主人公になっているのに、実際の自分を見つめ直してしまう。

普通では絶対に起こりえない関係性を作り出せているのがこの本の魅力に他なりません。

 

「キレる若者」なんてコメンテーターみたいな硬い考え方は置いておいて、一度この世界に入ってみてください。

 

そしてその世界で悩む事もありながら、楽しい学生生活を送ってみてはいかがでしょうか。